FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

○弱者保護としての文化政策――ベネズエラの場合

 クラシック音楽の話を、もう1つ。
 ベネズエラに、世界的に有名なオーケストラがある。「シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ」。ユースなのに、とにかくうまい。先日、スイスの音楽祭で、クラウディオ・アバドの指揮でチャイコフスキーの「悲愴」を演奏していた。ダイナミックで躍動感あふれる演奏が持ち味、と聞いていたが、「悲愴」もなかなかのものだ。
 このオケ、実は「救貧政策」、つまり弱者保護政策として始まった。貧困地域を多数かかえるベネズエラでは、子どもたちが人生を前向きに生きるようにすることが懸案だった。麻薬と犯罪が渦巻く貧困地域で、子どもに「やるべきこと」を提供する。その施策の目玉として、子どもの音楽教室を全国につくることになった。「マリファナ、拳銃ではなく、子どもたちの手にバイオリンを」がベネズエラの国策となった。
 多くの子どもがバイオリンなどの楽器を始めた。ほとんどの子どもが参加する地域もあった。そして、上達すれば、オーディションを経て、地域の、そして州のオーケストラに参加できる。そして、そのオーケストラ群の頂点に位置するのが「シモン・ボリバル」だ。ラテン・アメリカ独立の英雄の名前を冠するこのオーケストラは、今やベネズエラ中の子どもたちのあこがれの的になっている。すそ野がとてつもなく広く、競争原理が機能するので当然、レベルも上がる。
 文化政策が弱者保護政策になっている珍しい例、といえるのではないか。
 日本の音楽教育は「自助努力」「自己責任」が基盤になっており、家族に経済力がなければ、子どもはオーケストラで演奏する機会はまず、与えられない。
スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

yamamotojuku

Author:yamamotojuku
朝日新聞記者、Z会東大マスターコース講師(小論文)、伊藤塾講師(小論文)などを歴任。現在は辰已法律研究所などで小論文を教えています。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。